はじめに
今回は、全ゲーマー、全競技者が必ず知っておくべき、練習における大原則を紹介します
この原則を知らずに技術練習をしても、思ったような効果は望めません
この記事の内容は、私の旧ブログでトップクラスの反響があったものになります
読んでいただければ、必ず得るものがあることをお約束します
練習において最も優先すべき要素
なんらかの技術を練習によって上達させたい場合、上達させる要素はもう少し細かく分類できます
「正確さ」「速さ」「強さ」などです(他にも要素はたくさんあります)
おそらくほとんどの人は、これらの要素を同時に高めていくように練習をしているのではないでしょうか?
直感的にも、それが練習の肝であるように思われます
しかし私は、これらの要素を同時に追求するのではなく、まずは「正確さ」を優先的に追求すべきであると考えています
「速さや強さは二の次で良いから、まずは正確さに全振りした練習をせよ」ということです
「正確さなき速さ」には何の価値もない
FPSプレイヤーの中には、「速いエイム」を追求している人が多く見受けられます
しかし、どれだけエイムが速かったとしても、的からほんの僅かでもずれていれば、その速さは全くの無価値です
正確に当てられるという条件を満たして、そこで初めて速さに価値が生まれるのです
これは他の技術でも同様です
・シュートは速いが枠に入らない
・タイピングは速いがミスばかり
・手元は忙しいがコンボは成功しない
・ギターの運指は滑らかだが音を外しまくり
・包丁さばきは速いが具材の大きさはバラバラ
このような状態では、どれだけ速くともその技術には一切の価値がありません
正確さは、速さや強さの前提となるメインスキルです
速さや強さは、あくまで正確さのサブスキルでしかありません
これを覚えておきましょう
技術練習の本質から考える
そもそも技術練習とは、「繰り返した動作が強化され、無意識にスムーズに行えるようになっていく」という脳の性質を利用して行います
「繰り返した動作が」というところがポイントで、脳というのは、正確な動作とミス動作を区別しません
つまり、正確な動作を繰り返せば正確な動作が強化されますが、ミスを繰り返せばミスが強化されてしまいます
ここに、最初から速さや強さを意識することの弊害があります
最初から速さや強さを意識した練習を行うと、必ずミスが発生しますから、ミスが強化されていくのです
最初はどれだけゆっくりでもいいので、リラックスした正確な動作を繰り返していき、正確にできる範囲をジリジリと広げていくことが重要となります
正確な動作を繰り返せば、自然と速度はついてくる
「ゆっくりな練習だけじゃいつまで経っても速くならないじゃん」と思っている方もいるかもしれませんが、その心配はいりません
正確な動作を繰り返せば、「無意識に、スムーズに」できるようになっていくのが脳の性質です
要は、正確さを意識して練習をしていれば、勝手に速さもついてくるということです
最初のうちはとにかく正確に練習を行うことを意識し、自然な速度上昇に任せましょう
とはいえ、自然な速度上昇に任せるだけではいずれ頭打ちになることも事実です
速度が重要な技術の場合は、意識的に限界速度を上げていくトレーニングも必要となります
私の経験談
私が精度ファーストの原則(今命名)に気づいたのは、大学生の時にタッチタイピングの練習をしていた時です
私は元々自己流でそれなりの速度でタイピングができていた為に、正しいホームポジションに矯正して速度が遅くなることに耐えられませんでした
その為、ホームポジションは守りつつ、ミスを気にせずにガンガンとタイピングをしていくという練習をしていました
「やってりゃそのうちできるようになるでしょ」と考えていたのです
実際のところ、それまでの人生で習得したほとんどの技術は、数をこなせば勝手にそのうちできるようになっていました(自転車、リフティング、バク転など)
しかし、タッチタイピングに関しては、1ヶ月ほど練習しても全くできるようになる気配がありません
ここで初めて、「なぜタッチタイピングは習得できないのか」「技術を習得するとはなにか」と真剣に考えるようになり、その結果、正確さを重視するという発想が自分の中に生まれました
とにかく絶対にミスをしないように、何秒かかってもいいので一打一打正確に打つという練習を開始しました(自分は本当にせっかちなので、この時はあまりのストレスで指が震えたのを覚えています)
するとなんと、3日目にして指が完璧にホームポジションを覚え、あっという間にタッチタイピングを習得することができました
1ヶ月かかってもできなかったことが3日でできるようになったので、この習得速度は自分でも本当に驚きました
こういった経験から、私は精度ファーストの原則に気づき、それを他の技術習得にも応用するようになりました
初心者がなぜ「速度の罠」に陥るのか
ここからは、「なぜ初心者が速度を求めてしまうのか」について考察してみます
結論から言えば、初心者が速度を求めるのは、「上級者の存在」が原因だと考えます
我々が何か技術を習得しようと思う時、お手本や目標を探します
その対象は、当然熟練の上級者になります
例えば、プロの料理人の包丁さばき、タッチタイパーのタイピング、プロFPSプレイヤーのエイム……などです
気づいた方もいるかもしれませんが、こういった上級者の技術というのは、全てえげつないくらい高速です
お手本が速いのですから、初心者が速く練習するのは当然のことなのです
今思い返せば、子供の私にリフティングを教えたコーチは、いきなり完成形を見せて、「こんな感じだよ。ほら、練習してみろ」としか言いませんでした
私は運よくできるようになりましたが、まともにリフティングができないままサッカーを続けるチームメイトもたくさんいました
その結果、「リフティングはセンスのある奴にしかできない技術」という共通認識ができていたし、実際自分もそう思っていました
しかしあの時、「まずは一発一発正確に蹴り上げる練習をしてみよう」という指導がなされていれば、おそらくチームメイト全員がリフティングを習得できていたはずです
適切な練習法を見つけるには?
初心者が上級者の動きをそのまま真似するというのは、目標まで直線のルートを通るということです
しかし、そのルートを通ってうまくいく可能性はほぼ0に等しいでしょう
では、適切なルート、適切な練習法を見つける為に必要なものはなんでしょうか?
それは、「知識」です
自分が習得する技術とは一体どういうものなのか、それを理解する為の本質的な知識をどれだけ手に入れられるかで、適切な練習法を見つけられるかどうかが決まります
ブログ記事から、解説動画から、プロの試合から、実践から、様々な媒体から知識を得ることが重要です
知識量が少ないうちは、回り道をするでしょう
しかし、その回り道もまた、重要な知識となります
焦らずおごらず過信せず、着実に歩みを進めていきましょう
まとめ
練習では、まずは正確さを追求せよ
正確さなき速さに意味はない
速さや強さは、正確さのサブスキル
正確な動作を繰り返せば正確な動作が強化され、ミスを繰り返せばミスが強化される
正確な動作を繰り返せば、速度は自然に上昇していく
初心者が上級者の真似をしてもうまくいかない
適切な練習をする為には、知識が重要