今まで二記事書いてきたFPSサウンド論だが、今回で最後になる
はじめに
今回解説するのは、具体的なサウンドデバイスだ
正直ただゲームをするだけなら知る必要がない知識が半分くらいを占めているが、PCゲーマーがなんとなく知っているがいまいちよくわかっていない、という知識を整理できるような記事にしていく
今までなんとなくでしか知らなかった知識が、「あ~それってそういうことなんだ!」 と繋がるはずだから、ぜひついてきてほしい
今回の記事はFPSゲーマーだけではなくPCゲーマー全般に向けてのものだから、別に今までの記事を読んでいる必要はない
それでは早速いこう!!……と言いたいところだが、サウンドに関して二つほど前置きしておきたいことがあるから、まずはお付き合い願いたい
一つ目は、サウンドデバイスにこだわる方に非常に悲しい現実を教えよう
前提①:音聞き上手い奴は何使っても上手いし、下手な奴はなに使っても下手
最初に身も蓋もないことをいうが、はっきり言って音聞きのうまさを左右するのは、デバイスうんぬんより人間性能や練習の部分だ
音聞き上手い人×テキトー環境 >>>>>>> 超えられない壁 >>>>>>> 音聞き下手な人×最高の環境
残念ながら、この図は変えがたい事実だ
もちろん自分に合ったサウンド環境というのは存在するわけだが、根本的に音聞きが下手な場合、それをデバイスでどうにかするのは不可能であるということを覚えておいてほしい
それなりの環境を整えた上で音聞きが下手だったら、磨くべきはデバイスではない、自分だ
前提②:最強の環境は人それぞれ違う
ゲームのデバイスで万人にとってこれが最強! と言えるものはほぼないが、その中でも特に音に関しては、個人差があまりにも大きすぎる世界だ
Aさんにとっては究極だとしても、Bさんにとってクソカス以下の評価になることも十分にありえる
高級スピーカーのレビューを見てもわかるだろう
「私はこの歴30年のピュアオーディオベテランですが……」という二人が、★5と★1という真逆の評価をつけていることが往々にしてある
音に関しては、耳の形や頭の形はもちろんだが、脳みその構造が人によって違いすぎることが大きい
絶対音感を持つ人がいる一方で、壊滅的に音痴な人もいることからもわかるだろう
人によって得意な音域なども異なってくる
当然ながら、最強のサウンド環境なんてものはない、という前提で考えてほしい
実際に実力派のゲーマーにアンケートをとっても、かなり環境が異なっていることがわかる
さて、前置きはここまでにして、早速本編に入っていこう
そもそもPCとかゲーム機の音ってどうやって聞いてるの?
まずは、そもそもPCとかゲーム機の音はどうやって聞いているのかというところを解説する
なんでこんな知識が必要なんだ?と思う方もいるかもしれないが、知っておいて損はないし、そのほうがこれからの説明が理解しやすくなるのでぜひついてきてほしい
我々がPC等の音を聞くためには、主に3つの工程が必要だ
①デジタルデータをアナログに変換する
②アナログになった音を調整する
③ヘッドホンやスピーカーから出力
この3つだ
それぞれ解説していこう
①デジタルデータをアナログに変換する
そもそもPCの音はデジタルのデータなので、ヘッドホンやスピーカーなどのアナログデバイスではそのまま聞くことができない
だから、いったんデジタルの音をアナログに変換する必要がある
(デジタルとアナログの違いは相当小難しい話なので、気になる人はググってほしい)
そのデジタル→アナログの変換の役割を担う機器を、DAC(Digital Analog Converter)と呼ぶ
このDACの機能がないと、何も始まらない
②アナログになった音を調整する
DACによってアナログになった音は、そのままでは音が小さかったり、調整が効かないから、ヘッドホンやスピーカーを用意してもうまく聞こえない
だから、音量を増幅・調整する為のアンプという機器が必要になる
スピーカー用のアンプをプリメインアンプ、ヘッドホン(イヤホン)用のアンプをヘッドホンアンプと呼ぶ
ちゃんと音を聞きたいゲーム用途なら、ヘッドホンアンプが必要になるわけだ
PCのオンボードはイヤホンを繋げばすぐ音が聞けるし音量調節もできるから、最初からDACとヘッドホンアンプの機能がついていることがわかる
基本的に大体のDACは、DACとヘッドホンアンプの機能が一緒になった、ヘッドホンアンプ機能付きDACになっている
③ヘッドホンやスピーカーから出力する
PC→DAC→アンプと繋がってきた音を、やっとこさヘッドホンやスピーカーで聞くわけだ
ここで注意してほしいのは、インピーダンスやサンプリングレートという概念だ
インピーダンスについて
よくヘッドホンのスペックでインピーダンスという数値を見たことがあるだろう
Ω←この記号であらわされてる奴だ
ヘッドホンとアンプはこのインピーダンスと呼ばれる数値を考慮して選ばないとまともに機能しなかったり最悪壊れたりする
まあ一般人が使うレベルの機材ならそこまで気にする必要はないが、ここでは超簡単に結論だけ書いておく
・ヘッドホンのインピーダンスが低いと音量を稼ぎやすいがノイズが乗りやすくなる
・ヘッドホンのインピーダンスが高いと音量を稼ぎにくいが、ノイズが乗りにくくなる
・一般的にイヤホンはヘッドホンよりインピーダンスが低いことが多い為、音量が稼ぎやすくノイズが乗りやすい
・音質重視の高級ヘッドホンでは、インピーダンスが高いことが多い(低いからといって音質が悪いわけではない)
・アンプ側の出力インピーダンスは、基本的には低いほうがいいと覚えておいて問題ない(特に低インピーダンスヘッドホンやイヤホンを使う場合)
・アンプには推奨のヘッドホンインピーダンスが書いてあることが多いので、それを目安にしておけばOK
・200Ωを超えてくるようなヘッドホンは、それなりのアンプを用意することが前提
M50X(ヘッドホン):35Ω
HD 800 S(ヘッドホン):300Ω (高い)
DT 990 PRO(ヘッドホン):250Ω (高い)
IE40pro(イヤホン):16Ω (低い)
ATH-E70(イヤホン):39Ω
CloudAlpha(ゲーミングヘッドセット):65Ω
Xtrfy H1(ゲーミングヘッドセット):35Ω
インピーダンスについても解説すると長くなりすぎるので各自調べてほしい
サンプリングレート・ビット深度・ビットレートとは何か
PCで音質をいじろうとすると、24bit 48000hz(スタジオの音質) みたいな表記を見かけることがあるだろう
16bitだとか44100hzだとか色々種類があるもんだから、これなに???ってなってしまう人も多いはずだ
詳しいことは調べてもらうとして、一応大雑把に解説しよう
hzとかbitってのは、どっちも音の情報量のようなもので、高ければ高いほど理論上は音質が上がる
CDの規格は44100hz 16bitだから、これを基準に考えてもらうといいだろう
hzのほうは1秒間に何回音の情報をいれるかっていう数値で、サンプリングレートと呼ばれる
bitのほうは一つ当たりのサンプルの情報量で、ビット深度とか量子化ビット数と呼ばれる
このサンプリングレートとbit深度にチャンネル数をかけたものが、ビットレートになる
サンプリングレート×ビット深度×チャンネル数=ビットレート
CDなら、44100hz×16bit×2ch(ステレオ)=1411.2kbps となる
よくMP3の変換で320kbpsとか192kbspとか出てくるが、あれは元の音源をどれくらい圧縮するかっていう指標だ
CD音源だったら1411.2kbsだから、
320kbpsなら、320÷1411.2≒23% で大体4分の1くらいに圧縮
192kbpsなら、192÷1411.2≒14% で大体7分の1くらいに圧縮できる
ちなみにMP3なら個人的なおすすめは192kbpsだ
話がそれたが、「結局PC側はどれくらいに設定すりゃいいんだよ」という疑問に答えると、
とりあえず48000hz24bit あたりに設定しとけば問題ない
そもそもどんだけ出力側の設定を上げたところで元の音源のサンプリングレートが低い場合そこに合わせてリサンプリングされてしまうから、高すぎると無駄に負荷がかかって機材側にトラブルが起きやすくなる
現状この辺を超える音源ってのはほぼない
そもそもCDの44100hz 16bitですら人間の可聴範囲の上限を超えてると言われるから本当はこの辺に設定しけばいいのだが、YouTubeではアーティストの公式事務所に48000hz/24bitでのアップロードを推奨しているという説があったからこの辺にしといた
余談だが、YouTubeで音楽を聴く場合は動画の解像度を上げないと音質も劣化するから注意
参考:https://vocal-edit.com/blog/2019/01/11/youtube%E3%81%A7%E6%9C%80%E9%AB%98%E9%9F%B3%E8%B3%AA%E3%82%92%E7%9B%AE%E6%8C%87%E3%81%99/
もちろんゲームの場合もそんなに高いビットレートでできていないから、設定を上げすぎるとゲームが起動しなかったり音が歪んだりするケースが割とある
hz=サンプリングレート:何回音の情報を入れるか
bit=ビット深度:一つ一つの音の情報量
ビットレート=サンプリングレート×bit深度×チャンネル数
高すぎても意味がないどころかデメリットが大きい
余談:ハイレゾってなーに
ついでなので、最近流行りのハイレゾが何か解説しておこう
ハイレゾというのは、192000hz 24bit なんかのCDを上回る音の情報量を持った音源のことだ
CDを圧縮した音源ですら区別がつかないのに、CD以上の音質でとってどうすんだよってのが専門家たちの意見で、はっきり言ってハイレゾ音源なんてのは完全にオカルトだと言われている
そもそも機器を通して聞く以上限界があるから、本当にいい音で聞きたいなら録音現場に行くしかない
具体的なサウンドデバイスの選択肢
ここからは、具体的なPCサウンドを聴くための選択肢を解説しよう
オンボード
一般ユーザーにとって最も身近なのがオンボードサウンドだ
デスクトップPCでもノートPCでも、最初からヘッドホンをぶっ刺す穴があるだろう
あれはマザーボードと呼ばれるPCの基盤に最初からついている機能だ(ちなみに、最初からマザボについている機能全般をオンボード○○と呼ぶ)
オンボードサウンドは基本的に音質がよろしくないとされるが、最近のそれなりのマザボであれば全く問題ないレベルで使用できることも多い
イヤホンをぶっ刺せばすぐ使えることからもわかる通り、DACとアンプの機能を兼ねている
サウンドカード
オンボードでは性能が低いので、音専用の基盤をPCの内部にぶち込もうぜという発想で生まれたのがサウンドカードだ
音質はオンボードに比べれば格段に向上するが、PCとの相性を考えたり、PCの中にぶち込む手間が必要になる
しかもPCの中にぶち込む分、PC内部の影響を受けやすいので音質には限界があるとされる
機能にも限界がある為最近では推奨されなくなってきているし、私もあまりおすすめしない
こちらもオンボードと同じく、DACとアンプの機能を兼ねている
ヘッドホンアンプ機能付きUSBDAC
最初からヘッドホンアンプ機能が搭載された外付けのDAC
USBでPCと接続すれば後はヘッドホンを刺すだけで使える手軽さが魅力
簡単にPCサウンドの音質をあげたいならこれがおすすめだ
ゲーマーの間でアンプや外付けサウンドカードと呼ばれているものを分類するなら、ここに当てはまるかもしれない(マイク入力機能もついているから少し違うが)
アンプはまだしもカードじゃねーだろということで私的に外付けサウンドカード……??? という感じなのだが、この辺はいまいち言葉の定義が定まっていないから仕方がない
②USBDAC+アンプ
DAC機能のみを持った機器と、アンプ機能のみを持った機器を組み合わせる構成
音楽を楽しみたいPCオーディオ勢の間では、この構成が鉄板だ
機材を二つ用意しないといけない上、真面目に組むと普通に50万とか100万とかいくので、ゲーマー用途としては微妙
相性や遅延も気になる
音楽をしっかり聴きたい勢の為の構成だ
③DAC/ADCオーディオインターフェース
一般的にオーディオインターフェースと呼ばれるもの(厳密には外付けのサウンドデバイスは全てオーディオインターフェース)
ヘッドホン出力だけではなく、マイクやギターなどの多機能な入力機能がついている、音楽制作や音楽のライブ、ネット配信に使用される機材だ
ダイナミックマイクやコンデンサーマイクを使う為に必要なので、マイク用に導入しているゲーマーは多い
当然普通のヘッドホンアンプ付きDACとして使うこともできる(ことが多い)
つまり汎用性最強
配信向けオーディオインターフェースのド定番はAG03
こいつは本当になんでもできる神機材
私は面倒なのでゲームも音楽もマイク入力もその他もろもろも全てこれで行っている
配信向けのモデルだが、簡単な音楽制作用にも使える
当然バッファサイズなんかもいじれる
この機能ではありえないレベルの低価格
AG03はPCを使う人間なら一個持っておいて損はない
ヘッドホン・イヤホン・ヘッドセット
ヘッドホンの性能なんかについて細かい話をしだすと本当にキリがなくなってくるので、ゲーム用途において使えそうな話をしていく
音質は値段に比例する
ドライバーの種類や大きさや数、コイルなんかによって音質の傾向は異なるが、性能をその辺だけで見極めるのは難しいというか無理だ
そこで、わかりやすい音質の見分け方は値段になる
基本的に音質は値段に比例しているから、高いほど音質がいいんだなと思っていい
現実的には、2000円、5000円、1万、3万、7万
この辺りに境界線が引かれている気がする
正直なところゲーム用途でそんなに高い金を出しても宝の持ち腐れだから、ほどほどのところで妥協しよう
1万~2万円くらいのモデルが、ゲーム用途としては上限だと考えている
開放型と密閉型
ヘッドホンにもイヤホンにも、開放型と密閉型が存在する
外側のハウジングと呼ばれる部分に穴が開いていて空気が自由に行き来するのが解放型、閉じているのが密閉型だ
開放型↓
密閉型↓
それぞれのメリットとデメリットを解説しよう
開放型のメリット
- 軽く蒸れにくく装着感がいい
- 音がこもりにくい
- 高音が伸びやか
開放型のデメリット
- 音が漏れやすい
- 外の音が聞こえるので集中しにくい
- 低音を鳴らしにくい
密閉型のメリット
- 低音をしっかりと表現できる
- 遮音性が高く集中できる
- 細かい音を拾いやすい
密閉型のデメリット
- 装着感が(開放型に比べると)よくない
- (開放型に比べると)音がこもりやすい
こんなところだろうか
一応比較してのデメリットも書いたが、実際のところ密閉型にはデメリットらしいデメリットはない
開放型は音が逃げる為密閉型より音量を上げないと音の聞き分けが難しくなるし、音量を上げると自分のマイクにゲーム音が入ってしまう場合もある
ゲーマーとしてはあまりよろしくない
やっているゲームや環境にもよるが、基本的には密閉型を勧める
リスニング用とモニター用
ヘッドホンやイヤホンには、リスニング用とモニター用という主に二つの用途が存在する
具体的な定義があったり作り方が違うわけではないのだが、方向性がそれぞれ異なる
リスニング用
リスニング用のヘッドホンは、『音楽を楽しむ』為のヘッドホンだ
複数の音をまろやかに調和させたり、低音を強調したり、そのヘッドホン独自の味付けがされているから、自分の好みに合ったものを探すのが楽しい
モニター用
対してモニターヘッドホンは、『音のあらを探す為』のヘッドホンだ
主に音の制作現場で、細かい音の調整を行う際に使用されている
できるだけ独自の味付けを減らし、原音を忠実に鳴らすことを目的としている
複数の音同士が離れて聞こえる、いわゆる解像度や分離感といわれるものが高いことも特徴だ
人によってはモニターヘッドホンで音楽を聴くのは楽しくないという人もいるが、最近は割とモニターで音楽を聴く人が増えている印象だ
私はできるだけ原音に忠実に聞きたいし、単純にモニター的な音が好きなので、モニターヘッドホンで音楽を聴く
ゲーミング用途なら、比較的フラットな音を鳴らしてくれるモニター系の音作りのほうが望ましいと私は考える
ちなみに私は一時期ゲームに最適なモニターヘッドホンを探す為に大量の製品を抱えていた時期がある
もちろんリスニング用ヘッドホンと呼ばれるものの中にも、モニター的な音を鳴らすものもある
ヘッドホンとイヤホンの違い
音の鳴り方
ヘッドホンとイヤホンの主な違いは、音の鳴り方だ
ヘッドホンはスピーカーの位置が物理的に耳から離れているから、若干音が遠くから鳴る
対してイヤホン(カナル型)は耳の中にぶっ刺さる為、音が近くで聞こえる
また、ヘッドホンは音がハウジング空間で反響するが、イヤホンは反響しにくく音がストレートに伝わる
ここらへんが、いわゆる定位感に影響を及ぼしている部分だろう
(そもそもオーディオにおける厳密な定位感とは録音環境の再現のことだから、本来はスピーカー環境で使う言葉だ。以前も言った気がするが、定位という言葉を不用意に使う人間は私は好きではない。まあ仕方なく使うんだけど)
定位に関しては個人差が大きく、イヤホンのほうが位置を把握しやすい人もいるし、ヘッドホンのほうがいいという人もいる
私はFPSゲームの音のレンダリングなどを考慮するとイヤホンの方が理論的に優れていると考えているし、実際にイヤホンの方が位置を把握しやすいから、ゲームはイヤホン音楽はヘッドホン派だ
ヘッドホンは振動版まで物理的な空間がある為、音の位置が離れることと無駄な反響によって、ゲーム側が意図した音を正しく再現できていない可能性が高い
ゲームサウンドを忠実に再現するなら、ヘッドホンよりイヤホンの方が優れていると考える
しかしこの辺の感覚は何度もいうように本当に個人差があるから、色々試すことを勧める
同じ値段ならヘッドホンのほうが音質がいい傾向にあるが、絶対的な性能はむしろ?
一般的に同じ値段ならイヤホンよりヘッドホンのほうがいい音を鳴らす傾向にある
ただし、ヘッドホンのほうが絶対的な性能に優れているかというと、それは違う
単純に高品質なイヤホンは作るのが難しいから、その分値段が高くなっていると思っていい
ヘッドホンより複数ドライバを積んだイヤホンのほうが解像度がよいという説もあるし、そもそもスピーカーやヘッドホンは音が反響する為、細かい音を聞き分ける為にはイヤホンの方が良い可能性がある
スピーカーだと音の反響などにより細かい音を把握しにくいからプロがモニターヘッドホンを使うということは、モニター用途ではヘッドホンもイヤホンに劣る可能性がある
現在音楽の現場ではモニター用にヘッドホンが使われているが、そのうちイヤホンに変わるのではないかと思う
オーディオ界でも「このヘッドホンはスピーカーっぽい音を鳴らす」とか「このイヤホンはヘッドホンっぽい鳴り方をする」という言い方をすることがあるが、スピーカーのように鳴らせることは音質の良さと何の関係もないことに注意してほしい
むしろそういう製品はゲーム用としては優れていない可能性がある
イヤホンのほうが疲れにくい
ヘッドホンは物理的に重いし耳にずっと圧力がかかる為、長時間使っていると大なり小なり疲れてくる
イヤホンは軽いし耳に入れるだけだから、疲れにくい
ただしイヤホンはきちんと耳に合うイヤーピースを使わないとすぐに痛くなるので注意してほしい
ヘッドホンは髪型が崩れる
これは地味に大きいかと思う
ヘッドホンを使うと髪の毛に線路ができるから、その後人と合う約束がある場合は一度髪型を整えなおす必要がある
特に突然出かける用事が多い大学生には辛いだろう
帰宅した後も整髪料がついた髪の毛でヘッドホンをつけたくはないから、いちいち洗う必要が出てくる
面倒くさがりにはきつい
オフライン大会ではイヤホンでのプレイが必須
大会にもよるだろうが、プロゲーマーのオフライン大会ではイヤホンでのプレイが義務化されていることが多い
イヤホンの上に大会スポンサーのヘッドセットを装着しそのマイクで会話をするという形になる
理由は諸説あるが、実際のところ会場はとにかくうるさいからヘッドセットだけでのプレイなんてできたもんじゃない
一般人には関係ない話だが、プロゲーマーとしてオフラインでのプレイも睨んでいるなら、家でも同じ環境でプレイすることを勧める
ヘッドホンとヘッドセットの違い
性質
ヘッドホンにマイクをつけたのがヘッドセットだから、性質的にこの二つは同じものだ
ただし、ゲーミング用のヘッドセットは比較的中高音よりに味付けされる傾向がある
値段と品質
ヘッドセットはヘッドホンにマイク機能も同時につけないといけないから、同じ値段のヘッドホンに比べると、明らかに音質が劣る
私個人としてはヘッドホンとマイクを別々で買ったほうがいいと思っているが、その辺は個人の環境による
マイクを設置する場所もとらないし、マイクにもヘッドホンにも大した性能を求めていないゲーマーにとっては、いい環境と言える
さて、ここまでで、PCゲーマーが知っておくべきサウンドデバイスの知識についてはあらかた紹介し終えた
ここから、具体的なおすすめの構成について考えていこう
ヘッドホンアンプ機能付きUSBDAC + 好きなアナログデバイスが基本
私がゲーマー向けにおすすめするのは、ヘッドホンアンプ機能付きUSBDAC(以後DACアンプ)に、ヘッドホン or ヘッドセット or イヤホンをぶっ刺すという構成だ
USBDACアンプであれば、PCにUSBで接続して好きなヘッドホン類を刺せばそれだけで環境が完成する
サウンドカードは正直時代遅れ感があるし、ゲーム用途に本格的なDACとヘッドホンアンプの組み合わせはさすがに気合が入りすぎだし、机の場所をとってマウス操作が難しくなる
手軽に音質を向上でき、コストパフォーマンスに優れるUSBDACアンプが妥当なところだ
もちろん音楽用途でもオンボードに比べれば音質は大きく向上するから、一部のオーオタを除けば十分満足のいくものになるはずだ
FPSゲーマー向けのUSBDACの選び方
DACアンプにもいくつか選択肢があるが、FPSゲーマー用途を考えると、音質よりも遅延の少なさやコンパクトさ、イコライジング機能の有無あたりが重要になってくる
そもそもゲームの音質自体に限界があるから、音質的に極端に高性能な製品は必要がない
サンプリングレートのところで解説したが、一定以上の音質に設定すると音ズレやバグが発生してしまったり、そもそも起動しないゲームもあったりする
その辺を考慮すると、やはりゲーミング用のDACが選択肢になってくるだろう
現在ゲーミングUSBDACとして販売されている製品は5つほどあるから、その中で2つおすすめを紹介しよう
おすすめゲーミングDACアンプ ①GSX1000
PCゲーしかしないFPSゲーマーなら、一つ目はGSX1000を選んでおけばいい
遅延の少なさ、しっかりと動作する比較的まともなバーチャルサラウンド、ドライバーがいらずすぐ使え持ち運びしやすい、4種類から選べるイコライジングなど、FPSで使いたい必要な要素が一通り揃っている
デメリットとしては、価格が高いこと、低インピーダンスのヘッドホンではホワイトノイズがひどい、ドライバーレスゆえに細かいイコライジングができないことがあげられる
ホワイトノイズが気になる人は他の選択肢も候補に入れるべきだが、GSX1000のバーチャルサラウンド機能は一度体験しておいたほうがいいから、FPSゲーマーならどうせいつかは買うことになる
遅延を気にするプロユーザーならとりあえずGSX1000一択でいい
ホワイトノイズ対策としてインピーダンスケーブルを間にかますという手もあるのだが、元の製品の音傾向が大なり小なり変わってしまうから、間に何かをかますのは私は好きではない
どうしてもGSX1000を使いたい人は試してみるといいだろう
おすすめゲーミングDACアンプ ②MIXAMP
PS4プロゲーマーの間では定番のDACアンプ
メインであるPS4での機能やPCの音を同時に聴く機能はもちろんだが、遅延の少なさや細かく設定できるイコライジング機能など、PCオンリーで使う場合でも使い勝手がいい
基本的に欠点らしい欠点がない
他のDACはPCと連動して音量調整を行うが、MIXAMPはアナログで音を増減させる機能がある点も割とセールスポイントだ
PS4ユーザーや、PS4と併用したいPCユーザーならこれを選んでおけば間違いない
その他の選択肢
ゲーミングUSBDACの比較は今後個別に行うからそこを参考にしてほしいが、とりあえず上記の2つから選ぶのをすすめる
ゲーミングを除いて低遅延を売りにしているDACアンプもあるから、バーチャルサラウンドやイコライジングはいらないと割り切った私のような人は、そういった製品を選ぶのもありだ
めんどくさがりな人は、オーディオインターフェースをDACアンプとして使ってもいい
おすすめのヘッドホン・ヘッドセット・イヤホン
USBDACはとりあえず一つでいいが、イヤホンとヘッドセットとヘッドホンは自分の好みを把握する為にもそれぞれ一つずつ用意したいところだ
テキトーに自分の好みのものを選んでくれればいいが、一応個人的なおすすめを書いておく
おすすめヘッドホン:M50X
一時期色々なモニターヘッドホンを買いあさっていたが、最終的にたどりついたのがこのM50Xだ
高解像度なのは当然として、モニターにしては低域が豊かになっている点が気に入っている
ハウジングが小さく音が鳴る位置が比較的近めで好み
つけ心地も定番の900STなどに比べると柔らかく、長時間つけていても痛くならない
ゲームから音楽まで全てをこの一つでこなせる、今のところ自分の理想に最も近いヘッドホンだ
最近より小さくなったオンイヤータイプのM60Xが販売された為、おそらくよりこっちのほうが理想に近い
M50Xが爆発四散したら買ってみようと思う
おすすめヘッドセット:CloudAlpha
CloudAlphaは音質や音の鳴り方のバランスがいい上に、価格がまともなヘッドセットの中ではかなり安い
個人的にヘッドセットは価格の割りに……と思うことが多くあまり好きではないのだが、これは余裕で期待を超えてくる
新製品のCloudAlpha Sも販売されたが、低音調整スイッチという危なそうな機能がついているので、とりあえず旧CloudAlphaを選んでおいたほうが無難かと思われる
おすすめイヤホン:IE40pro
1万円代のイヤホンでは今までSE215が定番中の定番だったが、その牙城を完全に崩したのがこのIE40PROだ
当然上位のヘッドホンなどと比べると酷だが、フラットで解像度の高い音質は、1万円のイヤホンとは思えない
コスパを考えると、間違いなく今一番おすすめできるイヤホンだ
今後5年はこいつがエントリーユーザー向けのド定番になっていくだろう
若干タッチノイズが気になるが、まあイヤホンである以上しかたない
最後に
さて、今回はPCゲーマーのサウンドデバイスについて割と詳し目に解説した
何度もいうが、ゲーマーにとって最強の構成などは存在しないから、色々な選択肢を自分なりにチョイスしてほしい
また、何か解説してほしい事項があれば、質問箱あたりに入れといてほしい
↓質問箱
https://peing.net/ja/seria77777
それではまたいつかお会いしよう
ぐっばいさよ~なら~