はじめに:FOVが変われば感度も変わる
一般的に別ゲーとセンシを合わせる場合、 振り向き=キャラクターが180°振り向く際にマウスを何cm移動させるかで合わせる方法が主流です
しかし最もメジャーな方法であるにも関わらず、振り向きで合わせるとどうも感覚が合わないという人が多くいます
それは気の所為ではなく、同じ振り向きでもFOV(見えている範囲)が違えばそこから感じる視点移動の感覚が変わるのは当たり前です
以前FOVはスコープの倍率と同じという説明をしましたが、それで考えるとわかりやすいと思います
腰だめの状態と、高倍率のスコープを覗いている時で振り向きが同じだった場合、高倍率のスコープでは画面がとんでもねえスピードでビュンビュン動いてしまいエイムどころではありません
暇な方は旧ブログで解説した動画があるので、こちらをご覧ください(音量注意)
この異なるFOV間のセンシ変換は一筋縄ではいかないという前提を踏まえた上で、360°Distance(振り向き)と、MonitorDistanceというセンシ変換法について解説します
具体的なツールの使い方は次回解説するので、今回は理解に徹しましょう
360°Distance(振り向き)
360°Distanceは、キャラクターを360°回転させる時にマウスを何cm移動させるかという値で、主に海外で使われます
日本では180°振り向きのほうがメジャーで、半分の距離にはなりますが合わせ方としては同じです
360°Distance(振り向き)の優位点
振り向きで合わせると画面上へのエイムの感覚がおかしくなると言いましたが、振り向きで合わせるメリットもあります
まず、振り向きで合わせれば、角度に対しての手元の操作量が一致するという利点があります
「5cm動かせば真横を向く、10cm動かせば真後ろを向く」といった角度に対する手元の操作量が一致するのは、特に頻繁に振り向く必要のあるゲームの場合非常に大きなメリットです
更に、ヘッドラインなどの一点へエイムを張り付かせながら移動する場合、全く同じ手元の動きで張り付かせることができる点も大きいです
一点への張り付かせが重要だった昔のゲームの出身者は、振り向きで合わせる人が多い印象です
360°Distance(振り向き)のデメリット
先程も言ったとおり、画面上の視点移動量の感覚が完全にずれます
慣れの力をフルに使う必要があります
MonitorDistance
振り向きが画面上へのエイムの感覚を無視したものだったので、画面上を基準に感度を合わせようと開発されたのがMonitorDistanceです
モニターを下の画像のように0%~100%まで分割し、自由に選んだ一つの%においてのマウス移動量を一致させます
引用:https://www.youtube.com/watch?v=RYCrGAJshvQ&feature=emb_title
恣意的にどこかの%を選ぶ必要があるのは、3Dゲームの性質上異なるFOV間で完全に感度を合わせることは不可能だからだそうです
基本的に使用されているMM(monitormatch)は、0%、75%、100%の3つですので、それぞれ解説します
(水平と垂直がありますが、本ページでは水平で話を進めます)
一番人気のMonitorDistance0%
MonitorDistance0%は、現在最も推奨されている変換方法になります
MonitorDistanceは恣意的に選んだ画面上の一点でのマウス移動量を一致させるという変換法ですが、ここで選ばれている値は0%、すなわち画面の中心です
つまりMonitorDistance0%では、画面中心におけるクロスヘアの移動量が常に一致し続けることになります
小難しいですが、要は画面中心の敵を見ながらトラッキングする時の感覚が一致するということです
これは今まで私が述べてきた、『画面の中心をしっかりと見続ける』というエイム方法と非常に親和性が高い変換法です
実際に画面中心を見ながらエイムをしている人の場合、この変換方法以外だと視点移動が速く感じてしまうはずです
恣意性を排除して完全に感覚を合わせることができるので、そういった点では唯一無二の変換法になります
APEXやここ最近のCoDなど、最近のゲームはMD0%基準で作っていることが多いです
MonitorDistance 0%の弱点
優位点が多いMD0%ですが、完璧というわけではありません
MD0%には、FOVの差による振り向きの変化が大きいという弱点があります
例えばPUBGの腰だめ振り向き20cm(水平FOV103°)から4倍スコープ(水平FOV19°)にMD0%で変換すると、20cmから150cmと半端ない落差になります
ここまで振り向きの差が大きくなると、手元側の操作が非常にやりにくくなります
また、振り向きで合わせると同じ手元の操作量で一点に張り付かせることができるといいましたが、MD0%ではそういった手元の感覚の一致は完全に捨てる必要があります
MD75%、100%
75%や100%は、画面内の敵に対して、『ある程度』同じような感覚で、『ある程度』同じ手元の操作量でエイムすることができるというのがメリットです
実際のところ倍率を上げればその分敵も大きくなるので、『ある程度』で許されるケースが多いのです
良く言えば振り向きとMD0%のいいとこどり、悪くいえば中途半端な設定といえます
ここ数年くらいのゲームはMD75%や100%がデフォルトのゲームが多いです
CS:GO、BFはデフォルトでMD75%、PUBGはMD100%の値で計算されています
MD75%,100%の弱点
先程も解説しましたが、大体の感覚しか合わないのが弱点です
MD75%は75%の位置までは速く感じ、75%以降へのエイムは遅く感じます
このずれを許容できるゲームかどうかが鍵でしょう
モニター距離スケール、統一係数
ゲームによっては、MonitorDistanceによるセンシ変換をゲーム内設定で行えます
CoDではモニター距離スケール、BFでは統一係数という設定になっていて、1.33が標準です
ちょっと小難しいんですが、この数値は垂直のMDを表していて、係数1=MDV100%です
水平でいうと、0がMDH0%、1.33がMDH75%、1.78がMD100%に対応しています
ViewSpeedについて
一応、振り向きとMonitorDistanceの他に、Viewspeedという設定方法もあります
概ねMD70%~MD75%辺りとほぼ同じ数値になるようです
俺調べでは70%と一致します
ViewSpeedという設定名ですが、別に視界速度を反映してるわけではないようです
結局どの変換法がいいの?
ゲーム性と好みによるとしかいいようがありません
私の場合は、腰だめは基本的に360°Distance、遠距離戦が重要なゲームはMD0%、的が大きく近距離戦が多いゲームではMD75%、どれもやりにくい時は感覚でいじる、といった感じでかなりテキトーです
以前「服を着て歩くエイム力」こと某小型昆虫さんに伺ったところ、やりにくい時は感覚で合わせていると仰っていたので、やはりそれが一番良いのかもしれません
なにはともあれ、感覚的な感度が合っていたところで、そのゲームに適さないなら意味がありません
ぶっちゃけ感度は慣れです
あんまり別ゲーをやらないほうがいいというのは、この慣れを阻害する可能性が高いからです
まとめ
異なるFOV間で振り向きで合わせると、エイムの感覚がずれる
振り向きで合わせるメリットは、手元の操作量を一致させられること
MonitorDistanceは、画面上の一点を基準にマウス移動量を合わせる方法
MD0%は画面中心の感覚を一致させられるが、手元の操作量のずれが大きい
MD75%、100%はそこそこの感覚の一致とそこそこの操作量の一致が可能
結局個人の好みによるから色々試そう